クラウド会計ソフトのメリット・デメリット
近頃テレビCM、ネット広告などでfreee(フリー)やMFクラウド会計(マネーフォワード)のコマーシャルをよく見かけるようになりました。
高額なソフトを買わなくても手軽にWeb上で会計記帳ができそうだけど、使い勝手はいかがなものか?どのようなメリットがあるのか?弥生会計などの既存の会計ソフトに比べてどうなの?といったご質問をよく受けます。
freeeやMFクラウド会計のプロモーションにより、徐々にクラウド会計ソフトが認知されてきているとはいえ、まだまだ浸透していないと感じています。
というわけで今回は、会計ソフトの中でも特に最近話題となっている「クラウド会計ソフト」についてまとめてみることにしました。
クラウド型会計ソフトで会計業務をおこなうことで、複数人での同時作業や共有ができたり、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレット端末などいろいろなデバイスから作業ができたり、データのバックアップが自動的にとれたり、ということが可能になります。
今利用している会計ソフトが使いづらいと感じている方、これから会計ソフトを導入しようと思っている方など、ぜひ参考にしていただければと思います。
会計ソフトとはそもそも何をするものか?
クラウド会計ソフトの説明の前に、まずは会計ソフトとは何をするためのものか、なぜ必要なのかについてをおさらいしておきたいと思います。
会計ソフトの導入は必須
会社・個人事業主ともに、税法により日々の事業取引や入出金を一定のルールに基づいて記録していくことが必要になります。「毎日の取引を会計帳簿に記入(記帳)」することです。自分の事業(会社)がどれくらい儲けているのか、つまり「収入がいくらで、それにかかった経費がいくらなのか」を把握するためには、帳簿をつける必要があるのです。
そして、この帳簿記帳はノートなどの紙やエクセルなどに記入・入力していっても良いのですが(実際パソコンなどのソフトが発達していない時代は手書きでの記帳であったことは言うまでもありません)、手間や時間がかかりますし、単純な転記ミスなどで不整合が生じたときにそれを修正するのに多大な時間を要することになってしまいます。
ですので、多くの会社や個人事業主は弥生会計や勘定奉行、TKC、JDL、最近ではfreee、MFクラウドといったの各種会計ソフトを利用してラクに日々の会計記帳を行っているのです。
会計ソフトができること
会計ソフトでできることというのはどのようなことがあるのでしょうか。
各会計ソフトによって得意不得意がありますが、基本的な要素としては、ソフト上で日々の記帳(仕訳)業務を行うと総勘定元帳、補助元帳、試算表、決算書までが連動して自動生成されるというものになります。また、過去の入力データ(例えばA社の◯月◯日の売上金額、△月△日に支払った経費の内容など)もソフト上で簡単に確認できるようになっています。計算チェックや不整合のアラームなども備わっているため、ある程度簿記の知識があれば使いこなすことができます。
会計ソフトで作成できる主な帳票はどのようなものがあるのでしょうか。
・日々の会計記帳(仕訳入力)による仕訳帳の生成
・総勘定元帳の自動生成
・補助元帳の自動生成(預金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳など)
・月次試算表の自動生成
・決算書の作成
上記の各帳票は法律で作成が求められているもの、経営管理上必要なものを含めすべて網羅されています。つまり、当然のことですが会計ソフトを使用すれば、作成・保管すべき帳票は問題なく作成できるようになっています。
そして、会計ソフトには大きく分けて弥生会計のようなパソコンにソフトをインストールして使用する”インストール型”とインターネットに接続できればどこでも使用できるfreee、MFクラウド会計を代表とする”クラウド型”があります。”インストール型”であれ”クラウド型”であれ、必要な最低限の帳票は作成、出力できるようになっています。
クラウド会計ソフトの特徴
会計ソフトの機能、必要性について理解してもらった次は”クラウド型”の会計ソフトとはどのようなものについて、良いところ・悪いところに分けて説明します。
クラウド会計ソフトの良いところ
インターネット環境があればいつでも最新のソフトを使用できる
ソフトをインストールする必要がないので、PCを選ばずMacでもiPhone、iPadといったスマホやタブレットでも利用できます。
また、ブラウザ経由でソフトを使用するので常に最新のソフトを使用することができます。PCを買い替えた場合にもアカウント・パスワードでログインできるのでデータ移行作業等は不要で安心です。
インターネットバンキングなどとの連携で記帳業務時間を短縮できる
ネットバンキングやクレジットカード、電子マネーのWEB明細を自動取得できるので入力の手間が省けます。
そして、ただ取り込むだけでなく、取引内容に応じて勘定科目や補助科目(取引先)を推測して、仕訳を自動で作成してくれます。
逆にこれらの機能がない会計ソフトでは、通帳、クレジットカード明細等をみて、それらを手入力で仕訳入力する必要があるということです。
この自動仕訳生成機能がfreeeやMFクラウドを選ぶ一番の理由になります。
POSや請求書システムとの連携で記帳業務を短縮できる
クラウド型のPOSレジや各種の請求書システムと連携することで記帳時間を大幅に短縮することができます。
レジ内の売上データや発行した請求書データをそのまま売上として計上するので売上の計上漏れや金額の誤りなどがありません。
その他にも経費精算システム、給与システム、コミュニケーションツールなどの連携ができたりと、経理業務の効率化を進めることができます。
書類のデータ保管、バックアップは自動
会計データは、クラウドサーバー上に保管されます。請求書・領収書等の資料に関してデータとして会計ソフト上に保管することができ、「電子帳簿保存法」に対応した会計ソフトであれば紙の資料を保管する手間から解放されます。また自分でデータのバックアップを取る必要がありませんので、PCが壊れてもいつでも最新のデータで作業を続けることができます。
複数人が同時に見ることができる
普段は経理担当者が登録作業を行っている場合でも、経営者は好きな時に必要なデータを確認することができます。
経営者とすれば、得意先別の売上金額、部門毎の成績、資金残高を見たい時に見ることができます。経理担当者が社長に渡す資料を準備する手間もなくなるかもしれません。
クラウド会計ソフトの良くないところ
”クラウド型”の会計ソフトの良いところを見てきましたが、もちろん良くないところもありますので解説します。
手入力の場合、入力に時間がかかる
クラウド会計ソフトの最大の強みは、ネットバンキングの情報やPOSレジなどとの会計データの自動連係・自動仕訳生成機能です。
一方、自動連携ができない取引を画面から入力する場合、動作毎にインターネットでの通信を行うことになりますのでインターネット環境によっては遅くなりますし、手入力の操作性に関しても大量の手入力を想定しているインストール型と比べて劣っているといえます。
クラウド会計ソフトでは手入力を減らし自動仕訳をできるだけ多くしていくことで効率化が進みますが、手入力が多い場合は取引テンプレートを活用して入力時間を短縮するなどの工夫が必要です。
システムトラブルやメンテナンス時に使用できない
システムトラブルが発生した時、メンテナンス時間は使用できません。インターネット接続ができないとったトラブル時も同様です。
入力作業や確認をしたくてもこういった時間はデータを見ることもできません。システムトラブルはほとんど発生しませんし、メンテナンスも早朝等なの影響は少ないのですが、使いたいときに使えないことがあります。
このような場合に備えてスプレッドシートに試算表など重要な数値を転記しておく、自動取得させておくなどの工夫である程度リスクを回避することができます。
ランニングコストがかかる
会計ソフトを購入すると消費税率が変わるなどの大幅な法改正がない限り、ランニングコストなしでそのまま使用することができますが、クラウド型は使用料形式のためユーザー数、トランザクション数などに応じてランニングコストが発生します。
まとめ
クラウド型にもまだまだ改善の余地はあるものの、うまく活用すれば経理業務が大幅に改善することになりますし、freeeやMFクラウド会計も開発のスピード感があるため、数か月単位で操作性や機能を充実させています。
ただし、これまでに使い慣れている会計ソフトがあったり、現金取引が多い業種にはあまり向かないといったところもあります。期間限定で無料体験を行えるところもありますので、自社の経理に向いているかどうかしっかり確認してクラウド会計に移行するかを決めることが大切となります。
リモート経理部ではクラウド会計ソフトの導入実績、記帳代行実績がありますので、「スピーディーに業績を管理し、経理業務を効率したいがクラウド会計ソフトに移行して問題ないか」などのお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
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