経理アウトソーシングが先か、業務フロー見直しが先か…手を付ける順序の判断ポイント2つ
経理のアウトソーシングを検討する会社が増えてきています。アウトソーシング導入を検討するにあたって「この際、業務フローを見直そう!」と、業務フローの見直しも併せて検討、着手される会社も多いのではないでしょうか。
その通り。アウトソーシング導入時は業務フロー見直しの大チャンスです。
一方で、アウトソーシングと業務フローの見直しを同時に行うことが、かえって混乱を引き起こし、プロジェクトが長期化したり、どっちつかずになったりということも起こり得ます。
今回はアウトソーシングと併せて業務フローを見直したいという場合に、どこから手を付けるべきかについて、検討状況に応じて考えてみたいと思います。
目次
経理アウトソーシングと業務フロー見直し、手を付ける順序の判断ポイント
ポイントは、
・業務が回っていない、もしくは回らなくなる見込みであるかどうか
・すでに業務の棚卸ができているかどうか(誰が何をどれぐらいの時間かけてやっているかが分かっているか)
の2点です。以下、場合分けしてご説明します。
現状の業務が回っていない、もしくは回らなくなることが見込まれる場合
この場合は、いち早くアウトソーシング業者に問い合わせ、相談しましょう。業務が回っていない状態であれば、まずは正常な状態を取り戻す必要があります。効率化を進めるには現状の業務を回すマンパワー+効率化をするためのチカラが必要です。業務が回っていない、もしくは回らなくなることが見込まれる場合には、まずは最低限業務を回すマンパワーを確保したうえで、プラスアルファとして効率化を行うためのチカラを確保する必要があります。
ここで、効率を行うためのチカラとは何か?それは、効率化ポイントを見極め、アイディアを出し、実際の業務に落とし込み、運用してくチカラです。(キャパシティ、能力など、様々なものの総合力なので、「チカラ」と表現しています)
現状の業務を回すマンパワーが足りていない状態で、上記のプロセスをやり切ることは、(やらなければならないことではありますが)通常は不可能です。もちろん、効率化により、将来的には余裕が出てくる可能性もありますが、まずは業務が回っていない状態を脱するためにも外部の力を確保する方が、結果的に早く効率化が進むケースが大多数です。
業務が回らなくなった原因が何であれ、早めに相談することが必要であると考えられます。
業務は回っているが、業務の棚卸は出来ていない状態の場合
この場合は、業務を回すことに外部の力を借りるというよりは、業務を整理するために外部の力を借りるのが良いでしょう。
業務の棚卸ができていないということは、一部の業務がブラックボックス化していたり、人員に余力がある状態であったりするなど、効率化の余地が隠れている可能性があります。
可能であれば、まずはざっくりと業務の棚卸をし、それぞれの人員が何をどのぐらいの時間をかけているかについて概要を把握することをお勧めします。(後述しますが、難しければ先にアウトソーシング業者に相談するのももちろんOKです。)
業務棚卸のポイント
ポイントは、①詳細を詰めすぎず、概要を把握するのにとどめることと、②プロセス軸だけでなく、人員軸での棚卸を行うことです。
① 詳細を詰めすぎず、概要を把握するのにとどめること。
業務の棚卸ができていないところから、いきなり詳細を把握しようとするのは無理があります。普段、時間を詳細に記録していないのに詳細を詰めようとしても、信頼性のあるデータは出てきません。
・不明は不明で許容する
・分類の枠を大きくし、ざっくり把握する
ということを心がけましょう。この時点では、時間が把握できていないことが客観的にわかる、ということも収穫と捉えます。1ヶ月の労働時間が4~8種類ぐらいに分けられると理想的です。
②人員軸での業務棚卸
これは、それぞれの1ヶ月の労働時間がどれぐらい説明できるか?を出してみるということです。
経理業務では、プロセスに対しての整理はできていても、その人のキャパに対しての整理ができていないことが意外と多いです。これを意識して棚卸するだけでも、効率化のポイントが出てきたり、業務の優先度に関して管理職側とスタッフ側の意識の相違が出てきたりすることがあります。
「○○にそんなに時間かけてるんだったら、××を優先してやって欲しい。」
「△△の待ち時間が多いね、これは私から○○部に言っておこう」
など、コミュニケーションのきっかけとなり、大きく業務を改善できる可能性があります。
業務棚卸のメリットと、棚卸が難しい場合の対応
これらの情報をある程度持った状態でアウトソーシング業者と話ができれば、効率化が進めやすくなることは間違いありません。
逆に、難しいな…と感じた方は、先にアウトソーシング業者を探しましょう。(難しさの種類にもいろいろありますが)経理部門はベテランスタッフが力を持ちがちで、マネジメントが難しい分野でもあります。経理部門に業務棚卸を依頼したが、嫌な顔をされたうえに想定した成果物が出てこなかったということはよくあることです。外部業者の力を借りて、ブラックボックスを解きほぐしてくのも一つの手段。信頼できるアウトソーシング業者に依頼することにより、マネジメント面での負荷を下げるというのも、賢いアウトソーシング業者の使い方のひとつです。
業務も回っていて、業務の棚卸も出来ている状態の場合
この場合は、改善に手を付けてからアウトソーシング業者に相談するということでいいでしょう。
業務の棚卸もできていれば、改善ポイントもある程度見えているはず。外注を使うからと言って業者に気を使う必要はありません。できるところから先に手をつけたうえで、変更後の状態を前提にアウトソーシング業者と相談していくことで問題ありません。
まとめ
以上、アウトソーシングの検討と併せて業務の効率化を進めたい場合に、どういう順序で話を進めるのが良いと思われるかについて話してきました。
ただ、注意してほしいのですが、上記は一般論として想定されるケースについてお話ししているものです。個々の状況は千差万別であり、必ずしも想定通りに進むとは限りません。
アウトソーシング業者はいわばその道のプロ。社内の業務効率化にもアイディアや経験を持っていますし、効率化の相談にも乗ってくれます。(逆に言うとそれを全くしない会社は、このケースでは取引しないという判断で問題ないかと思います)データや紙をどういう形で預けることがお互いにとって効率的かは業者によっても異なるという事情もあります。
その意味では、信頼できるアウトソーシング会社を見つけ、現状の社内状況や今後の方向性を伝えたうえで、業務フローの見直しや効率化についても相談していくというのが理想的なのではないかと考えます。
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