【DX】経理にデジタル化が必要な理由|導入における注意点とメリット
長く続くコロナ禍の中でも「紙の請求書や手形のせいでテレワークができない」と毎日出社している経理の方は多いのではないでしょうか。
DXを取り入れると、決算業務をほぼ自動化・テレワークで完結でき、経営層はボタン一つで知りたい数値を取り出すことができます。この記事では「経理のDX化」についてメリット・注意点を解説します。
目次
そもそもDXって?
DXとは「Digital Transformation」を略語化したもの。変化の激しいビジネス環境に対応する業務改革のひとつです。単にIT化やペーパーレス化するだけではなく、業務に「変革」をもたらすことがDXを意味します。
バックオフィスの中でも、特に経理はDXの推進が難しいと考えられています。業務に属人性が強く、紙文化の習慣が根強く残っているためです。経理は企業のお金の流れに関わる重要なセクション。デジタル技術を取り入れ、効率的で安定化させることが急がれます。
他社の課題と実態
経理・財務部門に紙が根強く残る大きな要因となっている国税関係書類は、2015年以降の電帳法改正により実質的に電子データで対応できるようになりました。これにより領収書を電子化できることに対する認知度は93%と極めて高いです。(※1)
保管・輸送コスト、処理負担の軽減などメリットが多いと理解されている一方で、導入については腰が重いのが現状。領収書電子化を認知している という回答のうち「導入済」「導入中」という企業は合わせて10%。「導入計画あり」を加えても46%にとどまります。
制度要件の厳しさや導入コストが枷になり踏み切れない企業が多いことがよくわかるデータです。
※1 https://forum.cfo.jp/cfoforum/?p=7985/
導入のメリット
では、経理業務をDX化することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。必要とされている理由について解説します。
生産性向上・業務効率化
経理は繰り返し型の「定型業務」が多く、正確性を求められることが特徴です。デジタル技術を取り入れることで、自動化と人的ミス削減が見込めることが大きなメリットのひとつ。また、人の手によって行うことが必要なコア業務に専念することができ、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。
属人化の解消
デジタル化された情報が集約・見える化しやすくなり、属人化されていた経理情報がいつでも誰でもアクセスできる状態になります。それにより業務フローが可視化しやすくなるため、業務のマニュアル化を推進し、いざ退職者が出てもスムーズに引継ぎができるなどメリットが多いです。
経理データが経営へ貢献
システム上にデータが集約されると、日々の経費精算から決算情報まで、欲しいデータを欲しい状態ですぐに表示できるようになります。「この数字、出しておいて」と指示をし手元に届くまで数日…ということもなくなり、経営のスピードアップをはかることが可能です。
環境への配慮(SDGs)
DXによるペーパーレス化で、コスト削減のみならず環境への配慮にもなります。紙、インク、伴う二酸化炭素の排出量の削減も可能です。自然環境への配慮を欠かさないことは、持続可能な企業活動の構築のため欠かせない要素であり、企業の姿勢が評価につながる可能性も見込めます。
DX導入3つのステップ
ステップ1:まずはペーパーレス化から
書類管理、契約書作成などの電子化
まずは領収書や請求書、納品書などの証憑書類をデータで管理するシステムを導入して、業務効率化を目指します。経理の現場では書類の作成や押印などで業務時間がかなり割かれているもの。データ管理に移行すれば、手間の解消、書類の保管・検索も容易になります。紙の書類が必須のため出勤しないと業務ができない!という事態も避けられます。
ステップ2:データを連携させる
ステップ1でデジタル化したデータを自動的に連携できるよう、システムを構築します。経理のシステムは、給与、受注・販売、購買など複数のシステムを取り入れている会社が多いです。すべてを連携できれば経理の仕事は確認のみ。決算を最大限自動化することが可能になります。
ステップ3:データをすぐに取り出せる状態にする
連携させたデータをすぐに見られる状態で管理します。例えば、地域別の売上・利益の変化の推移、部門ごとの前年度との経費の比較、部門ごとの予算・実績の進捗状況…。これまではデータを複数のシステムから取り出し、見やすくグラフなどにまとめて経営会議の資料にしていた会社が多いでしょう。ステップ2のデータの自動連携ができていれば、必要なデータはボタンひとつで取り出せます。リアルタイムに経営層が見たい数字を取り出せるため会計データを経営判断に役立てることができるようになります。
ここまでくれば、経理は決算処理、経費精算などの労働集約的な仕事から脱却し、経営戦略を担う重要な業務にパワーを使えるようになります。
導入の注意ポイント
デジタル化することでもたらされる変革。適切に進めるために注意すべきポイントを洗い出しました。
課題の整理と見える化
DXで重要なのは目的を理解すること。そのためにも自社の課題を洗い出すことから始めましょう。業務フローを作成し、業務を見える化すると分かりやすくおすすめです。これによって、何をデジタル化でき、自動化が可能なのか全体から見渡すことができます。デジタル化しても効率化が臨めないものについては無理に変化させる必要はありません。
関連部門との連携
欠かせないのが、経理以外の部署との連携。経理は多少なりとも全部門に関わりがあります。DX推進の目的、互いのメリットを説明して全社的に周知し理解を得て協力してもらいましょう。取引先についても理解を獲得する必要があります。
一貫性のあるシステム構築
多くの日本企業でDXの壁となっているのが、老築化した一貫性のないシステム。長年運用している中で追加され、一部リニューアルされ…と複雑な状況になっているケースがとても多いです。構築時の社員がすでに退職し、詳細が不明で改修不可能…なんてパターンも。旧来の体制の刷新はかかる労力が大きいですが、改善後の影響も目覚ましいです。ここにくじけずDXを進める必要があります。
必要なのはツールだけではない
ここまで、メリットや注意点を解説してきました。
読んでいただくとお分かりになる通り、DX化はかなり労力がかかるプロジェクトです。ですが、導入後のデジタル化・効率化への貢献度は著しく、経営のスピードアップをはかることが可能です。
使用するツールやシステムはあくまでも道具に過ぎず、導入するだけでは求める効果は得られません。業務ルールやフローを棚卸し、業務全体をスリム化し最適化することが重要です。そののちに効率が高まり、社員が恩恵を感じ、会社全体に良い影響をもたらします。
これには、デジタル化を支援する事業者を活用することも選択肢のひとつ。私たちリモート経理部は、経理のオンライン化を見据え、ヒアリングをもとに新しい業務運用構築のお手伝いをしております。システムの導入、経理DX化のご相談、お待ちしております!
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