経理業務効率化の記事

母国語が日本語でない承認者のために、freeeの経費承認を英語の画面に切り出しました

外資系企業の日本法人を支援していると、以下のような場面に出くわすことがあります。

経理は日本語で回っている。でも、最終承認をする人の母国語は日本語ではない。

日本側で領収書を集め、内容を確認し、経費精算に申請まで持っていく。ここまでは問題ありません。最後の「承認」だけが詰まります。承認者である本国出身の社長やカントリーマネージャーがfreeeの日本語画面を開いても、「旅費交通費」「消耗品費」「但し お品代として」と並んだ明細から、自分が何を承認しようとしているのかを判断できないからです。

結果として起きるのは、だいたい次のどれかです。

  • 中身を見ずに全部承認する(統制として機能していない)
  • 経理担当が毎月、明細を英訳した一覧を別につくって送る(二重作業)
  • 承認が止まり、月次が締まらない

あるクライアントで、これを 「承認だけを英語のWeb画面に切り出す」 という形で作りました。本番のfreeeに対して、承認者と同じ条件のアカウントで、承認も差戻しも通るところまで確認できています。


承認者に渡すのは、URLひとつです

英語の承認画面

実際の承認画面です。映っているデータ(取引先・金額・領収書)は、この記事のために作った架空のものに差し替えています。実際の顧客データは含みません。

1. 2回目以降は、freeeを開かずに承認できる

最初に1回だけ、承認者ご本人にfreee側で利用を許可する操作をしてもらいます。ここはfreeeの仕組み上、省けません。承認者ご本人がfreeeのユーザーとして登録されていることも前提になります。

ただしそれ以降、承認者がfreeeを開く必要はありません。URLは一度お渡ししたらずっと同じものなので、ブックマークしておいて承認のタイミングで開き、英語の画面で判断してボタンを押すだけです。freeeの日本語画面を使いこなす必要はなくなります。

2. 左に領収書、中央に数字、右に英語の説明

日本の領収書は、そのまま見せても英語話者には情報になりません。どの店で何を買ったのかが読めないからです。

そこで画面を3列にしています。左に領収書の画像を大きく中央に日付・金額・freeeの経費科目(経費申請のときに選ぶfreee側の科目です)、右に「これは何のための支出か」をAIが読み取った英語1文。科目名も英訳して併記します(会議費 → Meeting expenses)。

承認者は右の英語を読み、気になれば左の画像を拡大して確かめる、という流れになります。

3. ボタンは Approve と Send back の2つだけ

押すと、その結果がfreeeの経費精算に反映されます。しかも代理承認ではなく、承認者本人の操作としてfreeeの承認履歴に残ります。「承認者本人が承認した」という記録がfreeeに残せる点がポイントです。

今回のケースでは、承認者の手間を最小にすることを優先した構成になっています。手軽さと統制の厳格さのどちらを優先するかは、御社の内部統制の考え方に合わせてカスタマイズ可能です。


ポイントは、一部の画面だけを英語にしたこと

今回つくったのは経費承認の画面ですが、やっていることを一段抽象化すると、こうなります。

元のデータは日本語のまま。見る人が必要とする一画面だけを、自動で英語にして見せる。

会計データも証憑も日本語のままですし、経理の側は今までどおり日本語で作業しています(現場スタッフの負担は増えません)。英語にしているのは、外国人の方が実際に目にする1枚だけです。だからこそ、システム全体を英語対応させる話にならずに済んでいます。

この考え方は、経費精算に限りません。以下は例ですが、同じやり方で考えられる領域です。

  • 毎月、試算表をExcelに出して英訳している
  • 取締役会資料を日本語と英語で併記している
  • 日本語の請求書を社内で回覧し、英語の説明を書き添えている

これら3つは、今回つくったものではありません。ただ、仕組みとしては今回と同じ形(元データは日本語のまま、見る画面だけ英語)で考えられる領域です。似たようなことでお困りであれば、実現できるかどうかも含めてご相談ください。


誰が何をするか

  • 従業員のみなさま … 領収書を提出
  • 自動処理 … 領収書の読み取り、内容の整理、経費科目の判定、freeeへの下書き作成と証憑の添付
  • タクセル … 申請を出す前の内容確認と、freeeへの申請
  • 承認者 … 英語の画面で Approve / Send back

承認者に必要なのはブラウザだけです。端末に入れていただくものはありません(最初にfreee側で一度、利用を許可する操作だけお願いします)。


留意点

AIの読み取りは間違えます。 特に手書きの領収書は、まだまだOCRの精度が追いついていません。今回のアプリでは、AIが自信を持てなかった証憑には画面上で警告を出し、画像で確かめていただく作りにしています。読み取り精度そのものを保証することはできません。

「完全自動」ではありません。 freeeに申請を出す前の目視確認は人がやっています。ここを無くすつもりは今のところありません。

差戻しの理由は、今のところfreeeには残りません。 承認者が画面に書いたコメントはタクセル側には届きますが、freeeのコメント欄に書き込む手段が用意されていないためです。備考欄への記録で代替する予定で、現時点では未対応です。

freeeの使い方によっては、そのままでは対応できないことがあります。 承認者が複数いる多段階の承認フローや、承認経路に条件分岐・役職での自動指定を使っている場合、経費申請のカスタム項目、外貨での立替などが該当します。特に承認経路の組み方はこの仕組みが成立するかどうかを直接左右するので、導入前に確認させていただきます。


おわりに ─ 丸ごと英語化しなくていい

「英語対応」というと、システムを丸ごと英語化する話になりがちです。費用も期間も大きくなりがちです。

でも実際に困っているのは、業務のごく一部分だけです。今回でいえば「承認の1画面」でした。逆に言えば、そこさえ英語で見られれば残りは日本語のままで構いません。むしろ、現場スタッフは日本語の方がやりやすいケースの方が多いと思われます。

会計システムを入れ替える必要はありません。御社側に足すのは承認者の画面1枚だけです(freee側の設定は当社で行います)。日々の経理は今までどおり日本語で回し、外国人の方が見る画面だけを英語にする。これが、いちばん小さく始められて、効果も高いやり方だと考えています。

「承認だけが詰まっている」「本国の役員が日本語の画面を読めない」——そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。タクセルは、貴社のフェーズに合わせてご提案します。

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電話:050-3174-4946

この記事の著者

松村康平

代表取締役

大手監査法人で法定監査、管理業務コンサルを経験。IPO準備会社の経理課長という立場で上場準備、決算、税務、事業計画、予算管理、上場準備、MA対応、会計システム導入、ペーパレス化の推進を担当。

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