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属人化を解消する5つの方法!原因とリスクも解説

「この人に任せておけば大丈夫!」と思える従業員がいると安心ですよね。しかし業務の流れやノウハウが、その社員しか分からない「ブラックボックス状態」になっていませんか?一般的に「属人化」と呼ばれる状態になっていると、不正の温床などのリスクがあり注意が必要です。

今回は属人化の原因、デメリットから解消方法まで徹底解説します。特に経理部門はお金を扱う部門。原因、リスク、対応方法を把握し、スムーズな業務運営を目指しましょう。

属人化とは

 

属人化とは、ある業務について特定の社員しか把握していない状態のことを指します。

業務をスムーズに進めるには、資料の保存場所、タスクとその順序、関係者、これまでの経緯に至るまで、あらゆる情報を把握する必要があります。

これらがブラックボックス化することにより、不正の温床になるリスクや、突然の欠勤、退職によって業務が進まなくなる恐れを抱えることになります。特に経理部門においては、簿記などの専門的なスキルが求められるケースが多く、属人化しやすい傾向がありますので注意が必要です。

属人化を解消するには長い時間を要します。日頃から特定の業務が個人に偏らないよう、対策をしておきましょう

属人化を引き起こす原因

 

属人化はさまざまな原因により発生します。ここで紹介するのは以下の4つです。

  • ・マニュアルがない
  • ・業務内容が専門的
  • ・ポジションの確保目的
  • ・仕事が忙しくて余裕がない

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

マニュアルがない

属人化を引き起こす大きな原因のひとつです。特定の社員だけが業務の進め方を知っているのは、説明を受けた人しか理解できない危険な状態。

マニュアルがあればルールを標準化でき、業務品質のレベルを一定に保つことが可能です。また管理者も業務の進め方を理解できるため、進捗を把握しやすくなるメリットもあります。

マニュアルを整備する際は、実態に合った内容か、最新の情報に更新されているかなどの管理も必要です。

業務内容が専門的

経理など、業務内容が専門的である場合は注意が必要です。担当者がノウハウを共有しようとしても、基礎知識がないと周囲も理解が難しいためです。

たとえば税務に関する知識が必要な業務は、豊富な知識をもつ経験者に任せられがちです。知識が無い人に教えるより自分でやった方が早い、と思ってしまい属人化が加速するケースも多いです。

自分のポジションを守る目的

組織内で自分のポジションを確保するために、属人化を発生させているケースもあります。決算や予算編成など頻度が少ない業務で生じやすい傾向があり、無意識であることも珍しくありません。

業務に必要な手順やノウハウを共有せず、自分のみ把握している状態にしておけば、自分がいないと業務が進まないことになります。ことあるごとに「あれってどうなりました?」と聞かれ、「自分にしかできない仕事だ」と勘違いを生むことは避けなければいけません。

このパターンにおいては、業務のやり方が自己流になり属人化が助長されているケースもあります。

仕事が忙しくて余裕がない

業務が多忙の場合、意図せず属人化が起こりやすくなります。周囲に自分の業務の状況を共有する余裕がなく、少しずつ属人化が進んでいるケースです。。

ひとつの業務終了後はすぐに次の仕事に取りかかってしまい、上司への進捗報告や同僚への情報共有ができません。例えばある業務でボトルネックがあり、業務がスムーズに進まなくても改善されず、効率化を妨げつづける可能性もあります。

また余裕がないことで他の担当者が手伝えず、担当以外の業務を見る機会がないことも要因のひとつです。

属人化のデメリット

 

ここでは属人化のデメリットとして以下の3つを紹介します。

  • ・業務品質を管理できない
  • ・退職でノウハウを失う
  • ・不正の温床となるリスクがある

業務品質を管理できない

属人化が起こると業務内容がブラックボックスとなります。管理者もチェックできない状態になる可能性も。

属人化によって、ひとりの担当者が100%のクオリティを出せる組織状態よりも、誰が担当しても80%を出せるマニュアルを整備した方が、業務品質の管理としては健全と言えます。

担当者が突発的な欠勤なども想定し属人化に備えるのが良いでしょう。

退職でノウハウを失う

属人化が常態化している組織は、担当者の退職によりノウハウを失うリスクがあります。

業務に必要な資料は残るかもしれません。しかし、業務の流れ、コツ、関係者のクセや注意点など、スムーズに進めるためのノウハウは全て失われることになります。

そうなった場合は、また後任者はイチから学び、積み上げる必要があります。業務を正常化するのに時間がかかり、大きな損失を被ることになります。

不正の温床となるリスクがある

自分の業務内容・プロセスを誰も理解していない、ということはミスを隠したり、不正を行いやすい状況とも言えます。特に経理部門はお金を扱う重要なセクションです。会社の預金や数字情報を操作するなど、不正行為に走る従業員が出る場合も。リスク管理の視点からも、ブラックボックス化は企業にとって致命的なリスクとなります。

属人化を解消する5つの方法

 

属人化を解消する方法として5つ紹介します。自社でできることから、ぜひ取り入れてみましょう。

  • ・マニュアルを作成する
  • ・責任を分散させる
  • ・仕組み、フローをシンプルにする
  • ・業務の流れを可視化する
  • ・業務改善に取り組む

マニュアルを作成する

マニュアルを作成することは、属人化の解消にとても有効です。閲覧するだけで誰でも作業を進めることができ、「担当者がいないと分からない」状態を防げるからです。

初めからすべてを網羅したマニュアルを作ることは難しいかもしれません。まずは大まかな流れをメモするところから開始し、担当者がマニュアルに手を入れ続けることでで少しずつブラッシュアップする形でも良いでしょう。、

業務フローやノウハウが蓄積されたマニュアルは、会社の資産です。属人化だけでなく、標準化、キャッチアップの早期化なども、マニュアル作成の大きなメリットです

責任を分散させる

責任の分散も、属人化を解消する方法のひとつです。そもそも、責任が特定の人に集中しているとほかの担当者が「これは自分の仕事じゃない」と無関心になり、属人化が進む環境となります。

たとえば小口現金を管理している社員が1人のみの場合、その社員がいないと、小口現金を出金できる人は誰もいないことに。複数の担当者が幅広い業務に触れ、責任を持つことで、属人化を防ぐ環境の構築が可能です。

仕組み・フローをシンプルにする

属人化を解消するには、仕事の仕組みをシンプルにすることも効果的です。業務の流れが複雑なほど、日頃触れている、特定の社員しか理解できない傾向が高まるためです。

処理済みの領収書の保存方法でさえ、複雑にしてしまえば属人化の温床になり得ます。ひとつひとつの工程を単純にできないか、複数の目で検討することが必要です。

作業の仕組み・フローをシンプルにすることで、誰でもその業務を担当できるほどの状態を目指しましょう。属人化の発生を抑えることに効果的です。

業務の流れを可視化する

まずは業務を洗い出し、流れを可視化しましょう。

業務工程を一つひとつ書き出し記録することで、一目で流れを理解できるようになります。また複雑な部分があった場合は、誰でも対応できるようシンプルにできないか検討できることも、大きなメリットのひとつです。

可視化することで、管理者も業務の進み具合を把握しやすくなります。

業務改善に取り組む

属人化に対して課題意識を持てたところで、解消のための施策として、業務改善に取り組むのをおすすめします。業務改善のためには、ボトルネックを特定し、その問題点を把握する必要があります。加えて、他部署や全社にそれを公開し、改善アイデアを募集するなどするのもアイデアです。誰にでも業務・部署の状態を説明するために、状態の分解・理解をすることこそが、結果として属人化の解消につながる効果を期待できます。

まとめ

 

今回は属人化を引き起こす原因やデメリット、解消する方法について解説しました。

内容をまとめると以下のとおりです。

  • ・専門的な業務ほど属人化が起こりやすい
  • ・属人化にはデメリット・リスクが満載
  • ・マニュアル作成などで可視化することで属人化を解消できる

今回紹介した解消方法を試しても、うまくいかない場合もあるかもしれません。

そんな時は思い切って、アウトソーシングなど客観視点を持った外部の力を借りるのも選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか?

いきなりアウトソーシングするのに抵抗がある場合でも、業務の仕組化やマニュアル化、業務フローの可視化はリモート経理部もお手伝いできますので、ぜひ一度お問い合わせください!

 

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この記事の著者

佐藤 ミツル

ライター

1981年生まれ、東北在住。
上場企業の地方支社で20年間サラリーマンを経験。2022年からライター業を開始し、本業と2足のわらじで執筆中。ジャンルは不動産、輸送、ビジネスなど幅広く、年間100本以上を執筆。2児の父で好きなものはラグビー。

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