【設定・実装・運用編】失敗しない会計システム導入設定
経理業務の自動化・効率化と言えば、会計ソフトの導入。各種データとの連携や自動仕訳など、業務を手助けしてくれる機能が揃い、いまや経理部の必携ツールです。
ですが意外と多いのが、導入手順での失敗。うまく使いこなせず、導入目的を完遂できないケースも。会計システムの導入は、高額なコストがかかる一大プロジェクト。成功に導くポイントについて解説します。
前回記事では、これから会計ソフトの新規導入だ!という方に向けて、最低限マストのチェックポイントをご紹介しました。
今回はいよいよ実運用の開始準備。この記事に沿って準備すれば、スムーズに運用を軌道に乗せられること間違いなしです!
目次
導入の準備はできている?おさらい
まずは導入の準備に欠かせないチェックポイントをおさらいしましょう。
会計システムは導入すればOK、というものではありません。今までの業務のやり方をそのままシステムで踏襲しようとしても、導入効果は感じられないことがほとんど。
以下の5点はマストの見直しポイント。クリアにしてから導入に進めば「高額な費用を投じただけ…」という状況は免れます。
- 1.成功の要!導入目的の明確化と共有
- 2.通信だけじゃない!環境・セキュリティをチェック
- 3.ソフト選定前がオススメ!業務フローの洗い出し
- 4.そのソフト、本当に必要?3STEPで業務見直し
- 5.個人評価にも影響?効果検証の準備
まだ上記のチェックが済んでいない方は、前回記事「【検討・導入前チェック】失敗しない会計システム導入5ポイント」にて確認しましょう。
システム移行の全体像
次に、システム利用開始までの手順・期間を全体像で把握しましょう。必要なのは以下のステップです。
- 1.マスタの整理・システムの設定
- 2.データ移行
- 3.運用開始
会計ソフトがクラウドタイプの場合、ソフトのインストールは必要ありません。インターネット環境があればいつでも運用開始ができます。
1.マスタの整理・システムの設定
本番稼働後の、使いやすさ、スムーズな運用かを決定するのはこのステップ。重要ですので、丁寧に準備しましょう。
システムの設定
アクセスメンバー
会計システムを複数人で使用するケースはよくあるでしょう。経理チームはもちろん、経営者、他部署、支店、顧問税理士など、拠点や会社をまたぐケースも。システムのプランによって、人数やアクセス権限の付け方に制限があることが多いです。この時点で、関係者とその利用方法について整理すると、運用開始時にスムーズです。
勘定科目・補助科目
システムによっては、あらかじめ一般的な科目が設定されていることも。その場合、設定に大きく手を取られることはありません。ですが、補助科目など「必須ではないが設定しておくと便利なもの」まで整えておきましょう。管理や集計がしやすくなり、会計システム導入のメリットを感じやすくなります。
金融機関
日頃使用している金融機関がシステム連携に対応していた場合、連携させておくととても便利です。信用金庫や労働金庫まで対応しているシステムが増えてきましたので、各公式HPで確認し、紐づけましょう。
マスタの整理
併せて実施しておきたいのが、マスタの整理です。以下のような取引先の表記ゆれ、存在していませんか?
- 株式会社タクセル
- (株)タクセル
- 株式会社タクセル
このように、現在扱っているデータの表記ルールが統一されていないと、二重登録などのミスが起きている可能性があります。この機会に、勘定科目体系の見直し、取引先名称ルールの統一など、マスタを整えましょう。整理が完了した情報を、新システムに設定します。
ここまで、情報の整理と準備が完了したら、実際の移行作業に移ります。
2.データ移行
システム利用を開始する前に、過去期・当期のデータを移行する必要があります。全期分移行するのか、1期分に留めるのかも確認してくださいね。手順は以下です。
- 1.移行データの抽出
- 2.新マスタへ置き換え
- 3.新システムへ登録
新システムへの登録後は、必ず財務諸表の残高が合っているかチェックしましょう。正しく移行できていれば、データ移行は完了です。
データ移行はシステム提供業者が代行してくれるケースも。追加料金がかかる場合もあるので、工数と相談してご検討ください。
3.運用開始
さて、いよいよ運用です。ここまでの設定だけでも細かい内容が多く大変でしたが、ここからが本番でもあります。業務を正確かつ効率的に改善するためのシステム導入。きちんとスムーズな運用をするために必要なポイントを解説します。
はじめは並行稼働がおすすめ
運用開始時点でおすすめなのが、既存の運用と新システムの運用を並行して稼働し、新運用フローの検証期間を設けることです。いざシステムを導入してみたら、設定やフローに抜け漏れがあり使い物にならない…というケースはよくあるもの。こんな事態は避けましょう。旧運用と新運用、両輪で進め、結果が一致するかを確認するのが確実です。
ですが、並行稼働はリソース不足が課題になりがち。そんな時は思い切って、新会計ソフトの運用を経理代行などの外部業者に任せるのもひとつの手段です。
もっとも、従来の運用フローで会計システムが「ただの入力先」となっていた場合は別。抜け漏れリスクが低いので、並行稼働なしに踏み切ってしまってもOKです。
実は重要!ユーザー教育・マニュアル周知
平行稼働し、システムに問題がないことが確認できました。仕上げは、ユーザー教育です。マニュアルを作成して説明会を行うなど、丁寧に説明しましょう。特に、他部署など関係者が多く操作を担う場合、ここを疎かにすると後でミスの修正や指導の発生にかなり時間を取られます。
ここをおさえるだけでトラブルがぐっと減り、スムーズな運用の実現がしやすくなりますよ。
まとめ
2回にわたり、システム導入のポイントを解説しました。
「システム」はとても便利ですが、あくまで道具の一つでしかありません。これを、どこでどのように使用するかの設計がとても重要ということが、2回を通してよくお分かりいただけたのではないかと思います。
業務の進め方やツールを新しくするのは抵抗がある方も多く、導入の労力も多大です。ですが、業務効率化、導入推進経験など、経理業務の経験値にも大きな影響が。この機会にプロの手を借りて、本格的なフロー改善をするチャンスでもあります。
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