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実用目線で見るBSの基礎|簿記が「使える」ようになる経理ブログVol.2

代表の松本・松村が運営するYouTubeチャンネル『まつぼライフ』。経理・会計・簿記について分かりやすく解説し、気の合う仲間を募るチャンネルです。
チャンネル内で配信している「使える簿記シリーズ」は、簿記の基礎から、本質的に理解することで生きた知識を得られるシリーズ。本サイト経理コラム用にアレンジして、シリーズでお届けします!

前回は、そもそも簿記とは?という根本部分を解説しました。簿記をただの手続き・資格として見ず、投資家に向けた手紙として機能させることが重要、とご理解いただいたと思います。

次のステップでは「投資家目線ってなに?」を理解していきます。今回の記事では、BSの全体像・前提や役割を理解することをゴールに、いくつかの角度からBSの基本解説を進めます!

BSの説明・無難バージョンからスタート

 

BSとは、貸借対照表のこと。バランスシート(balance sheet)ですね。

 

松本
松本
「B/S」と表記されることが多いですが、スラッシュは特に意味はありません!笑

 

あら、松本さん。今回もよろしくお願いします。スラッシュ、意味がないのですね。笑

BSに載っているのは、以下の3点の情報です。

  • 1.資産
  • 2.負債
  • 3.資本

 

松村
松村
BSは「一定時点の」資産・負債・資本をあらわしている、ということも同時に頭に入れておいてくださいね!

松村さん!覚えておきます。
資産が左、負債と資本が右というルールで統一されているんですよね。この表記を覚えると一目で理解しやすいです。

 

では、資産とは?負債とは?それぞれの項目がどんなものなのか見ていきましょう。

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資産:現金、預金、在庫、売掛金、貸付金、投資、固定資産など
今手元にあるお金、これからお金に変わるもの等を指す

負債:借入金、社債、未払い金、買掛金など
借りているお金、これから払わなくてはいけないもの等を指す

資本:資本金、履歴剰余金
元々の会社の資本、利益の積み上げ等を指す

----------------

 

松本
松本
と、ここまでが通常の簿記学習で言われること。

松村
松村
いやいや、ちょっと待ってくださいよ!と。

 

BSを「使う」目線で説明します

 

おふたりの解説、待ってました!

そう、ここで重要なのは、投資家は「出来上がったBSをどう見てる?」ということ。相手がどう使う書類なのかを理解するため、使用シーンを具体的にイメージしましょう。

BSを見て、使う人は以下の3者です。

  • ・経営者
  • ・出資してくれる投資家と、その予備軍
  • ・お金を貸してくれる金融機関

 

一番イメージしやすい、金融機関の使用イメージを例に説明を進めますね。

金融機関は「お金を貸して返してもらう」という仕事が基本です。貸したお金にプラスして、貸している間の利息を払ってもらうことで利益を得ています。そのため、貸したお金がちゃんと返ってくるか、を重視して取引をします。BSに並んだ数字を基に企業の状態を読み取り、お金を貸して問題ないか判断するわけです。

お金を貸す立場から見たBSは、このように翻訳できます。

  • ・資産:現在の運用内容と、残っている現金が載っている
  • ・資本:株主が出資した額+利益が載っている
  • ・負債:貸したお金が載っている

ここで金融機関が一番気にしているのは「資産」です!どのくらい現金があって、どう運用されているか、この会社は大丈夫そうかな?という視点です。

同時に見ているのは、資本。株主から預かっているお金は、極論返す義務はありません。そのため「この程度の額があれば大丈夫かな…」と保険の意味合いで考えます。
このように、
支払い能力や担保はどの程度か、測る目線でBSを見ているのですね。

金融機関は

事業をやっているのでお金は今後増えていく予定
よりも
現金がたくさんある、お金を借りていない、土地や売れる有価証券がある

ということを重視し、判断材料にします。その方が確実、かつ判断が楽なためです。

事業への信頼性や期待値を基にお金を貸す、というのはもう少し将来的な話。事業が上手くいき、その実績がたまってから、という傾向が強いです。

自分目線でも理解しよう

 

松村
松村
人にお金を貸すときをイメージしてもらうと、分かりやすいと思います!

そうですね!
例えば、友人から「100万円貸してくれない?」との申し出があったら…

貸して大丈夫かな?返してくれるかな?と思いますよね。
年収〇〇〇万くらいなら貸してもいいかな…とかんが

松本
松本

ストーーーーップ!

ここ、間違えやすいので気を付けましょう!「年収〇〇〇万くらいなら貸してもいいかな…」は、実は、別の話。いま話しているBSの範囲ではありません。

松村
松村
危ない!この理解のすみ分けはちょっと複雑ですね。

年収がいくらか、というのは、その個人が事業(仕事)で稼いでくるであろう予定の金額ですよね。それは、前述の「事業をやっているのでお金は今後増えていく予定」に当てはまります。そういった「収入・支出」ではなく「資産」が重要視される、というのがBSを見る金融機関の目なのですね。

 

松村
松村
友人が仕事で稼いでくるであろう年収〇〇〇万よりも、預金残高を確認してお金を貸すか判断しましょう、ということになりますね!
松本
松本
そういう事です!仕事によって稼いでくるお金(年収)はいくらかな?その収支は安全かな?と検討するのは、PLの話。また次回詳しくお話ししますね。

 

もう少し角度を変えて例えると…

住宅を購入したいのでお金を貸してください→借りやすい
ビジネスをはじめるからお金を貸してください→借りにくい

ということも言えます。

住宅を購入するためにお金を借りる場合(住宅ローン)は、購入する住宅が担保になります。もし、お金を返せなくなったとしても、担保となる住宅を売却すれば、貸したお金を回収できる可能性が高いです。これが「資産に対して貸す」ということですね。

松村
松村
そしてこの「資産」がどのような状況かを細かく見るのに、BSという書類を使っているのです。

まとめ

 

BSの持つ役割と、使用シーンを解説しました。

お金を出す側は、どんなことを重要視しているかも学べましたね。そのポイントを理解していくことが、簿記の全体像を本質から掴むことにつながります。

次回は銀行・投資家・経営者、それぞれの立場から見るBSについて、詳細を解説していきます。

 

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この記事の著者

橋尾 日登美

人事/広報/ライター

1987年10月生まれ、東京都出身。アパレルブランド「ISSEY MIYAKE」にて販売を経験した後、ベンチャー畑で人事・広報の領域で数社従事。デジタルハリウッド校の立ち上げや運営に携わり、今もキャリアセンターに在職。2020年、株式会社キャスターにジョインしたタイミングからフルリモートワーカーに。現在は人事/広報/ライターとして業務委託でタクセルに参画。

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